ドラッカーの経営思想から考えるビジネス改善

最近、あれだけ好きだった経営の本が読めなくなっていた。「本を読んで思考し、それを試してみる」これが経営をやっていて、一番の醍醐味だったはずなのに。日経新聞や地方紙はなんとか読んでいたが、行間を読むまでの集中力は発揮できていなかった気がする。そこで、私のルーツである、大学時代に読み込んでいた、ドラッカーを引っ張りだしてきた。2005年4月5日読了と手書きされている。もう一度ルーツであるこの本を読んで自分なりのルーティンや姿勢・仕事の楽しさを取り戻そうとする意図で行った。頭から読もうとしたが、やはり集中力の持続が難しかったため、好きだった項目を読んだ。

ドラッカー「現代の経営 下巻」254ページからの意思決定を行うこと である。

企業を良くしていくために、経営者は日常的に様々な意思決定を行っていく。

その意思決定のやり方について、ドラッカーが書いている。

①問題の定義

意思決定を行う時は、どうしたら問題が解決するのか?という「答え」に意識がいきがちだ。しかし、「本当の問題は何か」という問いこそが重要だと書いている。問題の本質の把握について、時間をいくら使っても使いすぎという事は無いとまで書いている。最近、私はこの点について意識が低かったように思う。

スピードを意識し、どんどん施策を打って、「当たるまで」というつもりで意思決定を行っていた。しかし、施策を実践しながらも、問題の本質の把握については時間を割いてなかった。本来は、スピードを重視しながら、施策をまわしつつ、問題の本質を深堀りするような同時進行こそが、とるべき姿勢だったように思う。

戦略的な意思決定は、複雑で、表面的な問題が本当の問題である事は、逆に少ないと書いている。

ある会社の利益構造~ケーススタディ

ある利益の上がらない会社があった。台所用品を販売している。この会社は利益を出すために、コストを削減するキャンペーンを長年続けてきた。しかし、利益率は改善されない。問題は、コストではなく製品ミックスにあった。営業マンは目先の売上を取るために、利益率の低い商品を重点的に販売していた。さらに、コスト削減に成功した分、卸値をダウンさせていた。そのため、コストを下げても利益率は変わらなかった。

つまり、重点的に販売する商品の変更こそが、コスト削減よりも取り組むべき問題だった。この場合、「製品ミックスの問題」だと、問題を再定義する事が必要だった。

これを問題の「決定要因」という。

 

第一のステップ 決定要因の見つけ方

この決定要因を見つけるのは、簡単ではない。そのため2つのアプローチを使う。

仮想運動①

何事も変化、変動しないものと過程して、「何もしなければ何が起こるか」を問うこと。

仮想運動②

過去にさかのぼり、「問題が最初に起こったとき何ができたか、あるいは何が放置できたか、その場合、現在の状態はどうなっていたか」を問うこと。

 

2つめのケーススタディ

この方法を実際に使った例として、急逝した筆頭副社長の後任をだれにするかという問題に直面したある化学品メーカーがある。だれもが、急逝した副社長が会社をつくりあげてきた事を認めていた。しかし、同時にその副社長があまりにワンマンであったために、骨のある人間をみな追い出してしまった事も認めていた。

したがって問題は、筆頭副社長のポストを空席にしておくか、あるいは、だれか同じように強力な人間をもってくるかだった。しかし、第一の解決策では、だれが会社を運営するのかという問題があった。第二の解決策では、第二のワンマンが生まれはしないかという問題があった。

そこで「何もしなければ何が起こるか」という問いかけが行われた。その結果、トップマネジメントが必要であるということとともに、そのためには何かをしなければならないということが明らかになった。何もしなければトップマネジメントがないことになる。遅かれ早かれ業績の不振と内部崩壊を招くに違いなかった。

 

次に「10年前に何ができたか」という問いかけが行われた。その結果、急逝した副社長の仕事や人柄が問題だったのではないことが明らかになった。問題は社長が名ばかりで、社長の役を果たしていなかったことにあった。

筆頭副社長があらゆる意思決定を行い、責任をおっていたのに対して、仕事をしていない社長は、名目上の権限だけをもち、保身に汲々としていたにすぎなかった。10年前に行うべきだった事は、筆頭副社長の強みを引き出すとともに、その弱みがもたらす害をなくすために、トップとしての社長の権限と責任を確立することだった。

まさに10年前、トップマネジメントの仕事をチームとしての仕事に組織し、副社長たちを常務会として組織し、それぞれの副社長に目標を設定する責任を分担させ、事業を製品別に組織するなど、制度的な予防措置をとっておくべきだった。

つまり、トップマネジメントのチーム制度と将来を見据えた設計が無い事が本当の問題であった。

こうしてそのメーカーでは、これらの問いによって、第一に行うべきは、社長の更迭であることが明らかにされた。そしてこれが実際に行われたとき、初めて問題が解決された。

 

第二のステップ 問題解決の条件を設定する

問題の定義についてはこれで終わりじゃなく、問題の解決のための条件を明らかにする

までが、「問題の定義」に含まれる。問題の解決にかかわる条件について、徹底的に検討する。

 

急逝した筆頭副社長の後任に関しては、組織の解決にかかわる条件はかなり明らかだった。第一の条件として、成果をあげることのできるトップマネジメントのチームをつくりださなければならなかった。第二の条件として、筆頭副社長として、筆頭副社長によるワンマン体制は防止しなければならなかった。第三の条件として、再びリーダー不在の状態を生み出してはならなかった。明日のトップマネジメントを育成しておかなければならなかった。

これらのうち、第一の条件によって、一部の副社長たちが望んでいた解決案、すなわち名目的な社長を持ちつつ、機能別部門の長を兼ねる副社長たちによる柔軟でインフォーマルな委員会を設置するという解決案が消去された。

第二の条件によって、取締役会会長が歓迎する解決案、すなわち、同じような筆頭副社長を再びもつという解決案が除かれた。

第三の条件によって、トップマネジメントの組織の問題は別として、明日のトップマネジメントを訓練し評価するために、製品別の連邦型組織が導入される事となった。

 

第3のステップ 原則と乖離度チェック

意思決定は長い時間の流れの中で起こるものなので、企業が元々設定している戦略や方針と乖離していないかチェックする必要がある。もし乖離しているなら、方針自体を変更してでもその意思決定を貫くのかという問題も検討する。

例えば、当社の米卸事業で、「売上を上げたい→問題は低価格の商品が無い事だ→低価格の商品を検討すべき」となった場合、当社の中価格帯以上しか仕入れないという、ブランディング戦略を毀損する。そうなった場合、ブランディング戦略そのものを見直す必要が出てくるため、「低価格商品はこれまでどおり入荷しない」という判断になるだろう。原則とのマッチと、会社として「してはならない事」を再確認するまでがワンセットだ。

 

ここまで書いてきたが、長いっ(笑)
以下にまとめておく。

問題の定義 まとめ

まずは、「何もしなければどうなるか」「問題が初期段階の時に何ができたか」

という2つのアプローチで、決定要因を探す。

決定要因らしきものを見つけたら、問題を解決する条件を列挙する。

そして最後にその条件を満たす事が、これまでの方針にマッチしているのか。そして、やってはいけない事の注意点を洗いだす事までが問題の定義という事になる。

 

とまあ、ここまでがドラッカーのアプローチの前半部分を書いた。普通はここまでだが、実際に当社の問題をここで取り上げたい。別記事に書こうかと思ったが、そのまんまスクロールできるので、ここに書いていく。もし、問題の定義が完遂できなくても、論理の基盤の足掛かり程度は作れるかもしれない。元々時間がかかって当たり前という前提がある。

 

当社の問題

当社は4つの事業を行っている。祖業であるお米の卸売業。ホテルなどの不動産事業。和スイーツカフェ事業。キッチンカー事業。

今期に関しては、お米の卸売業は月数十万の利益。不動産の収益が月100万。和スイーツカフェ事業が収支トントン。キッチンカー事業が20万程度の赤字。
この中でも、お米事業は中期的なアベレージでは十分貢献しており、不動産の収益も今後大きく伸びる予定なので、問題は和スイーツカフェ事業とキッチンカー事業についてという事になる。今、思わず、「和スイーツカフェ事業とキッチンカー事業を整理するか否か」というふうに入力しかけたが、それでは問題をおおざっぱに捉えることになるため、「について」とあえて入力した。問題の定義はこれからだ。

 

キッチンカーの問題について

月20万ものキャッシュアウトを見逃すわけにはいかない。「経験値の蓄積」という失敗の言い訳を自分に言い聞かせてきたが、整理するのかトライするのか結論を出さなければならない。問題の本質は表面的には

①売上がたたない

②利益が出せない

③キャッシュアウトしていく

④需要が見込めない

仮想運動

何もしなかったらどうなるか

このままだと、ひたすらキャッシュアウトし続けるうえ、メンタル的にもよくない。放置するのであれば、その分のノウハウもたまらない。

 

 

この問題が起こる前に何ができたか。

そもそもが市場調査を行い、業態の検討を重ねるか、おそらく参入しなかっただろう。

需要の喚起ができないのだ。ただ、これは、「需要が無い」事がわかる、今だからできる判断だ。ある事情により、当時は「キッチンカー事業をしない」という判断はできなかった。

需要を生み出す事ができるのか、整理か

整理する事は簡単にできるので、ここでは需要を生み出せるのかを論じたい。

問題の本質は需要を生み出せてない事が問題なのか。例えば、次の質問はキッチンカーで需要を喚起する事はできうるのか?そして、需要があるとすればどのような方法でそこにたどりつけるのか。その方法は当社にとって有益か。

事例集め

昔読んでいた、森岡毅さんの本に「日本人は、マジメだからゼロから事業や戦略を生み出そうとする。世界各地で同じような問題を抱えた経営者がどうクリアしたか事例を集め、トレースすべき。ゼロから考えるのは、最後の手段だ」と書いていた。このトレース意識の低さも私の弱点の一つだ。

 

とりあえず、ここまでの問題の本質は、月20万のキャッシュが検討もされず流出している状況が放置されている。これが問題なのではないか。

 

問題解決の条件

 

それでは、月20万のキャッシュアウトしている状況が解消されればそれでいいのか?それは、違う。そもそも事業は単体で需要を生み出さなくてはならない。「ノウハウの蓄積」や、「和スイーツとの連携によりコストカット」などの言い訳に逃げてきたが、この原則をようやく思い出した。そうだ。単体で需要を生み出さなくてはならない。そして生み出せているかどうかの基準は利益だ。需要を生み出せてないという事は、設計から間違っている。

そして、需要を生み出す事で成長への足掛かりをつかむ。キャッシュアウトの解消だけでは、十分ではない。

元々の戦略や意図

ここで、キッチンカーでの元々の戦略や意図を振り返りたい。そうして、何が想定どおりで、何が想定どおりで無かったかを明らかにしたい。キッチンカーではネパール餃子を販売している。

キッチンカーを設置している場所の周辺には、裕福な軍関係者が住んでいる。つまりアメリカ人をターゲットに設定していた。周辺のビアバーや、ハワイのポキ丼、超激辛ラーメン店。朝食やブランチを提供しているお店は、繁盛しており、特にバー関係は、アメリカ人の酒の量と、単価を高く設定する事ができるので、高い利益を出している。さらに辛いものが好きだという印象があったので、ネパール餃子で辛さをカスタムできる商売を考えた。

 

アメリカ人向けの商売は、バーなどの酒を出す店舗が勝ち筋だが、ココ壱や近隣のポキ丼のお店は繁盛しているので、そこでのテイクアウトでの総菜需要を取り込みたかった。しかし、今考えると、顧客視点というよりも、明らかに商品が先にある、提供側の視点だった。ネパール餃子を出す事自体が先にあり、それをもっともらしく建てつけた戦略だった。需要は本当にあるのか?その突き詰めが足りなかった。

 

辛いものが好きだろう。旨い餃子なら買うだろう。キッチンカーで維持費は安いから、コストはかからないから、最初ダメでもじっくり勝ち筋を探そう。最終的に単価が高く設定できれば儲かるだろう。○○だろうで塗り固められた戦略だった。AならBになる。というような、論理の蓋然性がなかった。

答え合わせ

しかし、現実は、辛いのが好きなのは、アメリカ人でも人による。完全に苦手な人もいる。そして「辛さ」の提供はあくまで「ラーメン」や「カレー」であり、餃子は好きでも嫌いでもなかった。普通。キッチンカー自体の維持費は安いが、揚げ餃子なので、ガスを多く使い、そのコストも馬鹿にならない。勝ち筋を探すに関しても、キッチンカーのペイントをかなり餃子の専門店色を強くしたので、あくまでメインは餃子を据え続けるしかない。抜本的に変えるにはペイントごと変える必要があるだろう。つまりフレキシブルさを担保できていなかった。

 

条件

話は戻る。。つまり、20万円のキャッシュアウトを解消するだけではなく、社員の給与を上げていくような事業単体の需要を生み出さなくてはならない。

 

ここまでの流れを整理

問題の本質「決定要因」

月20万のキャッシュが検討もされず流出している状況が放置されている。

問題解決の条件は

20万円のキャッシュアウトを解消するだけではなく、社員の給与を上げていくような事業単体の需要を生み出さなくてはならない。

 

こういう事になる。

 

和スイーツ部門の問題について

キッチンカーの問題の定義づけが終わった。通常なら、この後「問題の分析」→「複数の解決案の作成」とステップを踏んでいくのだが、あくまで最初のスタートが「飲食事業部門まわりの問題について」なので、いったんキッチンカーの問題は定義づけで止めておく。飲食事業まわりなので、和スイーツとキッチンカーで現実的にリソースを共用しているためだ。

 

和スイーツ部門の現状

3か月にわたってお餅屋さんの求人を行ってきた。しかし、現状は非常に厳しい。新たに採用できそうなのは、男性一名。もともとカフェをやっていてオーナーだった人だ。しかし、やはりスイーツづくりは素人だ。覚えも、人並みといったところだろう。残りはバイトが何名かいるが、熟練のアルバイトさんは、かけもちしており、月数回の出勤しかできない。ここで手持ちのリソースを整理しておきたい。

 

①社員希望の男性(覚え普通・初心者)

②学生アルバイト2名

③マスターバイト2名(一名は、月数回、一名は週2日程度)

ただし、神谷さんは時給を引き上げて、お願いすれば、来てくれるかもしれない

つまり、リソースを増やせるかもしれない。

④社長である私の労働力

⑤みたのクリエイトのアドバイス

⑥キッチンカーKさん
⑦マツイさん

あくまで、Kさんの評価を定めないといけない。

 

和スイーツ部門の問題とは、何か

そもそも私が、仕組みをつくる意識が低かった問題がある。インセンティブを提供するような仕組みを作れず、甘えがはびこる職場を生み出した。今回の施策が突発的な判断や応急処置のような解決策になってしまう恐れもある。

仮想運動・・何もしなければどうなるか

おそらく、Yさんとアルバイトのシフトの中で、できる範囲でお店を開けるような流れになるだろう。熟練者が店舗に不在となり、Yさんには心理的にプレッシャーがかかるだろう。Yさんが退職となれば、いよいよリーダー不在となり、店舗を維持するのは難しくなる。

 

仮想運動・・問題が最初に起こったとき何ができたか・現実はどうなったか

問題の「時期」が2つある。

本当の問題は、店長としての資質に欠けた人を採用し、また欠けた人を上手に働くような仕組みを作れなかった私にあった。問題の起こりは、2年以上前からという事になる。

そして、2つめの時期だ。1月の後半から社員2名の離職が決まった段階での採用活動にも問題があった。「店長」というポジションの不人気ぶりだ。以前は、しっかりと応募があった。今回はアグレとインディードマイナビで総額80万以上かけて月給25万円で求人をスタート。その後段階的に給与を引き上げていったが、給与を上げていくほど応募が減っていった。ここから一つの仮説が導き出せる。既存の店舗を店長として引き継ぐのは今の労働市場では心理的ハードルが高いという仮説だ。和スイーツ店のオープン時は23万の月給でも十分な応募があった。しかも週休2日ですらなかった。つまり、オープニングの店長と、既存の店長はハードルが違うという事だ。さらにコロナ過という事もあったろう。

 

アルバイトの離脱もあり、①現在は社員2名を募集している状況だ。「店長」のキーワードが出てこないので、こちらの方が安定して応募が見込めたのかもしれない。②もしくは、潔くいったん休業の判断を下し、数か月後に「再オープンの店長募集」の方が応募を見込めたのかもしれない。

ただ、①はまだしも、②の選択肢はそうとうトリッキーだ(笑)今だから出てくる選択肢になる。

 

決定要因

つまり、①問題は人材を活用できるような仕組みやルールが無かった事と、②採用プランに問題があった事だ。そして、当面の問題は、③熟練リソースをいかに補強するかという事になる。①~③は時間軸がずれる。①はより長期の決定要因。②と③は直近の決定要因となる。特に今現在は③が重要な決定要因となるだろう。

熟練リソースをいかに補強するか、いかに熟練化していくか。こうなる。

 

問題解消の条件

①Yさんを中心に、適度な負荷がかかり、効率的に熟練度が上がっていく環境

②リソース自体は必要なので効果的な採用プラン

③適度な負荷のためと②を行うための時間稼ぎとしての戦術アクション(神谷さんの時給アップによる、シフト増。商品の絞りこみなど)

④長期的には人材を活用するのに必要な評価方法や仕組みづくり(みたのクリエイトを活用)←ただ、商品開発で認められないと、厳しいかもしれない。

キッチンカー事業をおさらい

問題の本質「決定要因」

月20万のキャッシュが検討もされず流出している状況が放置されている。

問題解決の条件は

20万円のキャッシュアウトを解消するだけではなく、社員の給与を上げていくような事業単体の需要を生み出さなくてはならない。

 

Kさんの評価

ここでキッチンカーのKさんの評価を行いたい。キッチンカーの廃業とKさんのコンバートも選択肢の一つだからだ。Kさんは、12月の初旬からキッチンカーの再オープンの店長として正社員雇用した。5か月ほどの雇用になるが、評価が難しい。というより、評価項目自体を自分が設けていなかった。自分の怠慢にあきれる。
ここで、どういう能力が求められるか、まとめたい。

①自分でどんどん試行錯誤する能力

②管理する能力

③単純な調理スキル

 

②と③に関しては、最低限をクリアしている。レストランチェーン出身という事もあり、スイーツ以外の知識はしっかりあるように感じる。カレーのバリエーションを出す指示を与えた時は、何種類ものカレーを大量に作っていた。しかし①が問題だと思っている。色々試行錯誤する能力だ。何度か指摘したが、放っておくとずっと同じ事をし続けている。空いてる時間を活用する相談をするという意識にもかける。

 

問題の定義からの次のステップ「問題の分析」

ここまで具体と抽象をいったりきたりしながら、「決定要因」と「問題解決の条件」を行ったが、ここまではあくまで「問題の定義」である。第二段階は、問題の分析や分類である。分類の方がニュアンスとしては、近い。

 

問題の種類を知る

①その決定の時間的束縛性

その決定がどれぐらいの期間、ビジネスを拘束するのか。決定後どれぐらいの期間で撤回や変更が可能になるのか

②決定の分野や機能への影響度

その決定が営業や経理といった「部門」への影響なのか、事業全体に関わるものなのか

③決定に関わる価値的要因の数

行動規範、価値観、社会的信念、政治的信条。これらのものに決定が関わるかどうか

④その決定は特異か反復的か

反復的な場合は、原則を設定する。

 

そして、その問題に対して不足している情報は何であるか、どの情報をあきらめるか。

これらも検討されなければならない。

 

飲食事業の問題の定義

飲食事業まわりのとし「問い」として簡潔にまとめてみたい。
「キッチンカー事業を放置せず、抜本的な解決を図る必要がある、それは事業単独で価値を生み出せる事が前提。お餅事業はいかに適度な負荷と熟練リソースを確保し、長期的な評価システムを生み出すか」こうなる。

 

飲食事業まわりの問題の分類

①キッチンカーを整理・再構成は時間としては不可逆のため長期の問題として判断しなければならない。さらに、Kさんのコンバートを行う場合も同様だ。
熟練リソースの補充についても、長期の問題として扱うべき問題だ。時給の引き上げや評価システムの設定・正社員雇用が選択肢となるため。
②決定の分野
その問題の名前のとおり、飲食部門のみに関わる問題だ。ただし、お餅部門の印象はお米事業のブランディング戦略にも関わる事のため、直接の関係は無いが、顧客の心理面での影響は馬鹿にできない。
③事業外の価値観には特に配慮の必要が無い問題。
④ほとんどが特異な判断になる。事業の再構成や整理縮小が選択肢になる判断だからだ。しかし、飲食事業の評価制度は一度作ってしまえば反復的な問題の対策になる。

 

どんな情報が必要か。どんな情報を諦めるのか

一応近くのポキ丼の店や公園近くの馬場公園のお店に行って、何が違っていたのかを勉強するべきだ。需要がどう違ってたのか、はっきりとまとめるべきだろう。また今思いついた解決策だが、ハワイの文脈にのっとった別の食べ物を出すなどの方法はあるっちゃある。アメリカ人の方々は、沖縄をハワイに重ねてる部分はないか。その文脈のものは受け入れられやすいのではないか。宜野湾の家具どおりには、ハワイ家具の店がある。ハワイっぽく暮らしたいというニーズもあるのかもしれない。

キッチンカーの効果的な売却方法。採用プランや職場環境の整え方。外人の本当のニーズ。ハワイ料理で認知されている料理。

↑これらの情報は、集めようと思って集められるだろう。キッチンカーについては、商工会のツテ(ウォーレスや照屋さん)ネットでも集められる。採用プランや職場環境はみたのクリエイト。外人の本当のニーズはネットと近隣の人気店に行く事ができる。

諦める情報については、解決策を出していくうちに明らかになるだろう。

 

複数の解決案の作成

ここでドラッカーの次のステップに戻ろう。すでに読んでいる人はいない前提で書いている。乱文になってたとしても、ご容赦ください。この章で書かれている事は、「当たり前を疑い、必ず複数の解決案をテーブルに載せよう。また、何もしないという選択肢も検討しよう」これだけである。

鉛筆メーカーの事例

ある鉛筆メーカーは工場の設備が陳腐化し、このままでは他社との価格競争に勝つ事が難しい状況に陥った。そこで、工場を潰し、新工場を建設。しかし新工場のコストの重さからその会社は倒産した。方法は複数あった。生産の一部を設備の整った工場に外注する方法もあった。他社の商品を卸す、卸業者になる道もあった。しかし、倒産するまでその会社は解決策を思いつかなかった。
このように、いかに発想が硬直的かという事になる。

 

飲食事業まわりの解決策

今現在、アイエンコーヒーの午前10時51分。ここまでに10日ほど費やしたかと思う。ようやく解決策の作成に入れる。しかし、問題の定義→問題の分析が終わり、発見も多かった。さらに、頭のキレも戻ってきた気がする。
しつこいようだが、おさらいしよう。

問題の定義

「キッチンカー事業を放置せず、抜本的な解決を図る必要がある、それは事業単独で価値を生み出せる事が前提。お餅事業はいかに適度な負荷と熟練リソースを確保し、長期的な評価システムを生み出すか」

問題の分析

事業の整理や再構築・給与の引き上げ・評価システムなど不可逆性の高い意思決定。時間軸で考えても重要度が高い。飲食事業まわりの決定だが、お餅事業はブランド戦略としてお米と結びついている。評価制度以外は特殊解が必要な意思決定
必要な情報はキッチンカーの効果的な売却方法。採用プランや職場環境の整え方。外人の本当のニーズ。ハワイ料理で認知されている料理。

飲食事業まわりの解決策

それでは、複数の解決策を作成していこう。

Aパターン
キッチンカーは撤退・売却。Kさんは退職。会社都合になるため、退職金を30万円用意。4月末まで営業し、後片づけ。5月末退職。お餅屋は引き続き求人し続ける。採用プランや職場環境を整えるのは、みたのクリエイトのアドバイスを確認しながら。神谷さんや三浦さんの協力的なシフトと俺の労働力も計算に入れる。
Bパターン
キッチンカーは撤退・売却。Kさんは餅屋にコンバート。その場合でも求人は続ける(インディード無料でアルバイト・正社員)採用プランや職場環境を整えるのは、みたのクリエイトのアドバイスを確認しながら、神谷さんや三浦さんの協力的なシフトに期待。俺の労働力も計算に入れる。

上記AorBパターンは、Kさんの意向がすべてだ。あくまで会社の考えが甘かった事を詫び、残った場合の考えと、退職時の扱いをフラットに説明し、どうするかをKさんに委ねる流れになるだろう。

Cパターン
キッチンカー事業を再構築。売る場所の変更。例えば、馬場公園に設置する事や、馬場公園裏の巨大外人住宅街の敷地内に設置。その場合、席を設置する必要はあるだろう。その場合、ビール類の利益率の低さや冷蔵庫のキャパ不足が気になる。
Dパターン
売る場所を変更せず、業態の変更。例えば先ほど生み出した、アメリカ人は沖縄でハワイっぽく暮らしたい。というインサイトをつき、そこに沿った業態へ変更する。ただし、先ほど調べたところ、良さそうなメニューが少なかった。ポキ丼、マラサダ、ガーリックシュリンプロコモコ、パンケーキ(コナズコーヒーのような業態はどうか)、スパムむすび、アサイボウル、カルアピッグ、サイミン(沖縄そばみたいなやつ)
この辺になるが、アジャストしやすいポキ丼やマラサダ、ガーリックシュリンプアサイボウルあたりに先行者がいるのがネック。

このように、単体で需要を生み出すほどの事業を生み出せるかが争点になる。売る場所の変更と業態の変更、どちらも行った場合、当然Kさんの負荷はより高くなる。そもそも事例としてキッチンカーの成功事例が少ないように感じた。キッチンカーのロールモデル事例として、やはり人が集まる場所に時間帯として移動するか、個人事業としてオーナーが行う。本業はあくまで飲食店であり、イベントにだけ出店し、タイパの良い稼ぎ口としてのみの役割が多いと感じた。


Eパターン
Dパターンの異種。「動くキッチン」という機能を使って別の需要を創出する。ただし、、、キッチンが動くという機能がはまる需要というのは多くはなさそう。例えば、介護食などを考えた場合、大量生産し、弁当を製造。あとは配達だけを行う方が明らかに効率的だからだ。
Fパターン
「キッチン」の機能を取り去り、トラックとして保有個人事業主として、配送業を行う事ができる。ただし、そこそこ走ったトラックであり、せっかくつけたクーラーを外すなどの措置が必要。
Gパターン
キッチンカーを所有し、レンタルとして貸し出す。その場合、2つのパターンが考えられる。キッチンカーのみを月極で貸すパターン。もしくは、イベント時のみ時間制で貸し出すパターン。しかし、後者の場合、プレーンなキッチンカーに整備する初期投資と、顧客側のブランディングの難易度が上がる。前者の場合、最初に境界をしっかり整備し、それを維持し続ける手間はかかる。

Hパターン

キッチンカーは整理。和スイーツカフェも休業。このパターンもある。正直Yさんは能力的に厳しい部分もある。本人に意欲が無ければすぐにでも休業の判断をしたいぐらいだ。リスクとしては、せっかく今いる熟練アルバイトを手放す事になり、食材のロスも生まれるだろう。ただし、個人の思いとしては、それでも全然かまわない。集中すべきことに焦点を絞る。私次第の状況になる。
何もしないパターン

キッチンカーの問題は放置され、月20万ほどのキャッシュアウトは止まらないだろう。シンプルにYさんの負荷は高いか、手を抜いて取り組む事になり、どちらにしろよくない。

以上のように、キッチンカーを維持する場合の解決策を数パターン作ったが、どれも初期投資は少なからずかかるだろう。そこまでのモチベーションが沸いてこない。文脈や需要を無視した戦略だった。

選択肢から決定を選択

ドラッカーの部分に戻ろう。選択肢がまず一つだけではない事を確認し、直近のリスクと将来のリスクを考える。さらに経済性。どれぐらいのコストがかかるのか。それによって諦めなければならない事は何か。そしてフェーズのタイミング。全体像をみんなと一気に共有するのかそれとも、最低限の実行を積み重ねていくのか。はたまたその折衷案か。計画を実行する人的資源は計算に入っているか。その個性や能力は決定とマッチしているか。

AorBの選択肢について

キッチンカーは整理。そのために食材の廃棄などの無駄が生まれるが、Kさんの人件費の方がはるかに高い。将来の機会損失は生まれるが、その機会の論理がこちらではつかめそうもない。フェーズとしては、最低限を実行しながら、「状況が落ち着いたら、ルールなどを明確にして、方針を示す」とちょくちょく伝えるべきだろう。整理の方向性が固まったら、現場の負荷をみながらハンズオンで人的資源の質の向上を図るべきだ。

選択肢の決定について

キッチンカーを活かす方法も考えたが、様々なチェーン店やコンビニ、モーニンググループ。すでに外人さんの需要は満たされているのではないか。特にモーニングさんは文脈に乗った商売で多額の投資をかけており、ここに腰の入ってない我々で対抗するには厳しいと感じた。そして何より和スイーツや新規事業・北部投資に集中したい、私の感情がある。

AorBの決定に希望的観測がどのぐらいあるか

①神谷さんや三浦さんが協力的にシフトを入れてくれるだろう
②Yさんが能力の足りない部分を、やる気で補い、キャッチアップしてくれるだろう
③俺も即戦力として、機能するだろう
④俺が適度な負荷を設定する事ができるだろう
⑤みたののアドバイスや時間が人的リソースを解決してくれるだろう。

↑裏を返せば、現象としてこうなるように、確率を上げるためにどんな事ができるか、細部まで詰めるべきだろう。

 

みたののアドバイスはとりあえず商品開発

そうなのだ。別記事でも書いたが、みたのの主張は、売上比率40%を超えるような、圧倒的なクオリティの商品を一つ作る事。それが正の循環を生むとしている。しかし、どのぐらいの時間がかかるかもわからない。商品開発を考えつつ、熟練リソースの補強と負荷の設定を同時進行するべきだ。

熟練リソースの補強と負荷の設定

とりあえず、ざっくりと社員予定のYさんに自分の意向に任せるように指示した。そのシフトに応じて、私も時々労働力として参加し、マツイや島袋さんはいけるのか?さらに様子を見させてもらい、負荷を感じとる。

商品開発